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2015/08/23

Number the Stars


Number the Stars
著者:Lois Lowry
語数:26,108
読みやすさレベル:4.0
評価:★★★★

Lois Lowryの1990年度のニューベリー賞作品。
第二次世界大戦中のナチス占領下のデンマーク。10歳のAnnemarieとその家族がユダヤ人の友人を脱出させるまでの一連の活動を描く。

本のタイトル、Number the Starsは聖書の詩篇147章にある言葉です。
詩篇はキリスト教で言う旧約聖書の中にあるのですが、こちらの書物はユダヤ教の人の聖典でもあります。その中の言葉が引用されているのです。

「主はエルサレムを築き、イスラエルの追いやられた者を集められる。主は心の打ち砕かれた者をいやし、その傷を包まれる。主はもろもろの星の数を定め、すべてそれに名を与えられる。」(引用はこちらのページのものを借用しました)

ユダヤ人たちが脱出用の船を小屋の中で待ちつつ、いつこの計画がナチスにバレてここに集まった全員が掴まるかわからない、そんな緊張の中でレジスタンスの一員が読んだ一節です。
ナチスに追われ、傷ついたユダヤ人たちですが、そんな彼らを忘れること無くそれぞれを覚えてくださる神。追い詰められ絶望に陥りそうになる彼らを励ますピッタリの聖句だと思いました。

この作品に出てくるデンマーク人の活動は実際にあった出来事を下敷きにして書かれているそうです。ヨーロッパでナチス・ドイツがどんなことをしてきたか、その圧政下で人々はどんな行動をとったのかという歴史は日本人としてはほとんど知る機会はありませんでしたが(「アンネの日記」は有名ですけど)、少女のAnnemarieを含め、危険を犯しながらも人々が勇気を示した姿に自分だったら出来るだろうか等考えさせられました。