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2012/01/29

Messenger

Messenger

Messenger
著者:Lois Lowry
語数:36,627
読みやすさレベル:5.9
評価:★★★☆☆

Lois Lowryのthe Giver Trilogy(ギバー三部作)の最後の作品です。

あらすじ:舞台は前作Gathering Blueの6年後。主人公はかつてMattと呼ばれたMattyです。きちんと教育を受けてちゃんとした英語を話すようになっていますので今回は訛りで苦戦することはありません(笑)

Mattyは前作で村を出て行ってからKiraの父親と2人で暮らしています。
移り住んだ村は様々な場所から逃げてきた人、追い出された人などが集まって出来た村です。互いを助けあう村としてMattyが以前住んでいた村とは逆の安楽の地として描かれていましたが、村を閉鎖しようと言い始める人々が出てきて、投票で閉鎖が決定してしまいます。Mattyはその伝令を様々な場所に伝える役目とKiraを父親のもとに連れてくる役目を果たすために危険な森へと旅立ちます。




感想:まず、終わり方に納得出来なかった…!!! the GiverやGathering Blueにも多少ファンタジーのようなSFのような要素が見られたけれど、今回のはそれを超えて、もはやご都合主義なのではないかと思うほど。まあそうやって終わらなければ希望のない終わり方になってしまうのだけど…。

良かったところは2点。
一つは人間の醜さを他の2作に比べて強烈に描いているところ。前作まではこの村の人々は身体に障害を持つ人々が多く、互いを支え合うのが当たり前の世界だっただけに、その変貌は悲しく衝撃的です。そして欲しいものを得るために自分の心と交換してしまった利己的な人々の姿は現実の世界の問題とリンクし、身につまされる様な思いでした。

もう一つは3部作というだけあってこの作品でJonas、Kiraが一堂に会することです。the GiverとGathering Blueの関連性が薄かったこともあって、今回もそこには期待していなかったのだけど、Jonasの生存と生活がちゃんと確認できて嬉しかった。他にも色々と気になっていた所や、あれはこんな意味だったのかな…と思わせるところもあってすっきり出来ました。

結論として3作読んでよかったと思います。ラストがちょっと納得出来なかったものの、Messengerもなかなかでした。人の優しさや醜さ、悲しさのよく見える作品だったと思います。


the Giver Trilogy
The Giver (Readers Circle (Laurel-Leaf))Gathering Blue (Readers Circle)Messenger