本棚の整理

2011/10/10

the Giver/ギヴァー 記憶を注ぐ者

読み終わりましたー。やはり一冊読み終えると快感です。
The Giver (Readers Circle (Laurel-Leaf))
the Giver
Lois Lowry著
語数:43,139
読みやすさレベル:5.5
評価:★★★★

Amazonの評をみると、英語のレベルが簡単だったという声がよく目についたんだけど、…簡単ですかね…orz
たしかに文法的には引っかかるところがなかったんだけど、単語はあまり目にしないのが多く見られた気がしたし、特に言葉の正確さに重きを置いているところのある作品だったので、ついつい辞書を多用してしまいました。

後半部分はぐっと盛り上がったのでスピードアップできました。




以下ネタバレ含みます。
あらすじ
 Jonas's world is perfect. Everything is under the control. There is no war or fear or pain. There are no choice. Every person is assigned  a role in the Community.
 When Jonas turns twelve, he is singled out to receive special training from The Giver. The Giver alone holds the memories of the true pain and pleasure of life. Now  it's the time for Jonas to receive the truth. There is no turning back.

 訳(Amazonより):
 ジョナスの世界は完ぺきだ。すべてが完全にコントロールされている。戦争も、痛みの恐れもない。選択の余地もない。すべての人は共同体の中で役割を与えられている。ジョナスが12歳になったとき、ザ・ギバーから特別な訓練を受けることになった。ザ・ギバーだけが、人生における本物の痛みと喜びを握っている。今、ジョナスが真実を受け取るときがきた。後戻りはできない。 

JonasがReceiverになったところから急激に面白くなる。この本、23章まであって、8章でReceiverに選ばれる。8章まで、実は1週間以上かかってしまった。そこから先はものすごい勢いで3日くらいで読了。

ただ終わり方がすごく曖昧。どうにでも取れる終わり方なので不完全燃焼な感じです。The GiverのあとにGathering Blue Messenger が続いているようなので、そこでJonasの運命が何らかの形で語られるのかなあ。気になるところです。

わたしにはJonasの世界がただの一市民として生活するには必ずしもデストピアとは思えなかった。なんとなくジョージ・オーウェルの『1984』の世界にちょっと似ているなと思ったけれど、The Giverでは自分が傷つくようなことは何も無く、飢餓も争いも無い。この世界で苦しむのはThe GiverやJonasの様な人間だけ。 無知でも愛を知らなくてもこの世界で生活するのはむしろ幸せなのではないかと思ったりもした。

 ただ、なぜこのCommunityの祖先がこのような世界を作ることを選択したのかを想ったとき考えを改めた。この世界には多様性がない。そして他人の助けを必要とする人間を養うゆとりをもっていない。強い情動や知覚の排除は人々がその昔、理性では争いや憎しみを抑えることが出来なかった絶望の結果だったんじゃないかと思った。

Jonasの世界の人々が選択した結果は今後の私たちの世界にも起こり得ることなんじゃないかと思った。寛容よりも無感覚を選択するのはあまりにも寂しい。

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Lv.5
★4
SF・ファンタジー
作者:Lois Lowry